慶應通信学習記録ー経済学部普通課程69期秋ー

慶應義塾大学経済学部通信課程に69期秋入学しました。(普通課程)

卒論体験記その1:テーマ選びについて

ご無沙汰しております。

昨夜、なんの気も特にはないまま、Twitterで↓な感じで呟いてみたところ、意外とご期待の声(?)をいただいたので、つれづれなるままに書き連ねてみたいと思います。

 お役に立つかどうか、そもそも真っ当な内容かどうかの保証は一切ございませんが、「こんな奴もいるのね」くらいな感じで読んでいただけると幸いです。

というわけで、1回目の今夜は卒論制作の入り口たる「テーマ選び」編。ここで成否が決まるなんて話もありますが、終わってみて振り返ると、肩の力抜けますよーというお話です。

ちなみに凡人の体験を元にしていますので、「そんなの間違ってる!」と思われた卒業生・在学生の方いらっしゃいましたら、生暖かく見てやってくださいまし。

 1. テーマは変わって当然

最初から何を言い出すんやというお話です…

卒論までたどり着いた方の大半は、入学当初、あるいはある程度学習が進んだ段階で、何となしの卒論テーマみたいなものは決まっていると思います。

が!そのテーマをそのまま貫き通せる方というのは、結構限られるんじゃないかなーという気がします。自分の場合は、入学当初にぼんやり構想していたテーマから2回変わって卒論に突入しました。

変わった理由は、1つ目のテーマが「指導を希望しようとしていた教授に答えを出されていた」からで、2つ目のテーマは「よくよく考えてみたら現在進行系の事象にぶち当たった」というものです。

あんまり最初のテーマに固執しすぎると、上記のように準備を始めた段階で詰むことも多いかもしれません。

全く決まっていないのも問題ですが、逆に言うと「どうも見つからんなぁ…」という方も、色んな方向にアンテナ張ってりゃどうにかなると思われます。

いざ指導に入ると、指導教授からの軌道修正バンバン入りますし、なんとなーくでいいんだくらいの感覚でも良いと思います*1

2. オリジナリティって何ぞ?

これ言われますよねー。「卒論も学術論文であるからして新奇性*2が重要であるのだ」的な。

けどね、ゆうて学部生なわけです。ここで肩に力入って、「新たな理論を打ち立てるのだ!」って言い出すと、収拾つきません。ていうか無理。

オリジナリティを追っかけて、Google ScholarとかCiNiiで色々探してみて、「やっぱりアタイのやろうとしていることは論文がない!」と思ったアナタ!そんなときはだいたい、「探し方が間違ってる」か、「研究する値打ちがない」か、「立証不可能なお話」のどれかだと思って立ち止まるのが吉です。

よく、「巨人の肩に立つ」とか言いますし、四次元殺法コンビは↓のように述べています。

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てなわけでね。まずは純粋な疑問から入っていきましょう。新しいことを追い求めるのではなく、自分の疑問の切り口を変えて、「新しいことのように見せかける」方がよっぽど話は早いですし、意外とそっちから攻めたほうがオリジナリティにつながるかと。

じゃあ具体的に、シンプルな疑問からどうやってオリジナリティにつなげるのか?
例えば、「Aという事象はBが理由である」という理論が存在するとして、なんとなく「エー、ウソー、このまえCが理由でも起きたよー」という経験をしていたとします。「実はCも理由である」という研究が無ければ、はいオリジナリティ。
他にも、「Aという事業はBが理由である」という研究が30年前のものだったとすると、「2020年にも当てはまるのかしらん?」と疑問を抱けば、はいオリジナリティ。

自分の場合は、後者のパターンでして、ある企業群の特性に対し、15年前くらいまでのデータを使った実証実験があったので、最近の企業だと…ということで調査し、「やっぱり昔の研究は正しかったんやね。けど、最近はこういうことも起きてきてるで」という結論を導き出すことで、オリジナリティとしました。

要は、既存の枠の中から少し飛び出せばいいんです。そうすることで、十分学術への貢献と言う*3ことができます。

3. テーマを小さくするのではなく、引っ掛かりを作る

上の話とつながるところもあるのですが、論文としてちゃんと書こうとすると、テーマを小さく絞れとは良く言われる話。で、当然ながら生まれてくるのがこの疑問。

「どうやって絞り込むねん」

よくあるのが、地域だったり時代だったり業種だったりを限りなく絞っていって小さくすること。

王道アプローチではあるんですが、たぶん卒論指導に入ると「テーマ大きいなぁ」と言われるのではなかろうかと。

「ほならどないせぇっちゅうねん!」という話ですが、結論からいうと、テーマみたいなもん、ボンヤリでも壮大でも構わんのです。

「そんなもん手に負えんようになるやんけ!」とお怒りのアナタ。その怒りは正しいです。

キモになるのは、「何が気になるんや?」を絞り込んでおくこと。つまり、「なんかこれ引っ掛かるんですけど」という点を明らかにしておくことだと思います。

「こういうことを明らかにしたい!」とか、「ここを調べたい!」の方から入ると、結構色んなことが気になり始め、あれもこれもとなってしまい、結局テーマが大きくなりがち。

それよりも、「この論文のココ、なんか気になるんすけど」とか、「世間的にこう言われてるけどマジ?」くらいなところのほうが、ピンポイントでやるべきことがわかりやすいです。

自分の場合は、「新聞とか雑誌とかネット*4でこんなふうに言われてるけどホンマけ?」→先行研究調べると最近の話はない→最新の状況踏まえてココを調べたい。という形で絞り込むことができました。

疑問点さえ明らかにしておけば、卒論指導に入ったあとに、「じゃあこっち方面から攻めてみよっか」的なコメントをいただき、卒業予定申告提出のタイミングで、「じゃあこういう論文になりそうだから、こういう題目にしよう」というように決まります。つまり、「テーマが後から決まる」ことになります。

意外と自分の興味ってホントはどこにあるのかなんて、人間そうそう自覚できるもんでもないんじゃないかなーと。

4. 準備は程々に

卒論指導!文献読まなきゃ!データ集めなきゃ!って肩に力入ってる方もいるかもしれませんが、まぁ落ち着けと。

1~3で書いたように、最初に思っていたことは指導に入ると往々にして打ち破られます。自分もそうでした*5(´-`).。oO

特に実証系で書こうとしている方、あんまりゴリゴリに集め始めると、後から「またイチからやり直しかよ…」と心折れるリスクが高いです。

なので、準備は程々にしとくのが、精神衛生上もよろしいかと。

かといって、手ぶらで臨むと、調査票が書けずに門前払いをくらいます。じゃあどの程度の準備が必要なのか?という点ですが、以下は必ず押さえておく必要があるでしょう。

  • テーマにかかる先行研究数本
  • 自分の考えるアプローチを実現するための基礎となる領域の基本書。例えば株価について研究したいなら、株式理論の基本書とか。
  • 実証系で書くなら、データの入手先

このあたりを押さえつつ、1~3の内容も含めると、調査票が次のように書けます*6

○○理論は、XXと述べているが、自分の職業上の経験では、△△である可能性も考えられるので、その点を明らかにしたい。

世間的には☆☆が※※で♪♪であると言われているが、一方では〒〒が★★で●●であると言う人もおり、その差は何故生じるのか?が本研究の中心となる問いである。その点について明らかにすれば、○○理論が実は△△でだと言える可能性が生まれるのではないだろうか。

○○理論については、名無野権兵衛による研究『あれやこれや』がその基礎であり、ここでXXと述べられている。一方、誰屋念『うんたらかんたら』によると、□□の可能性も指摘されている。しかし、現在のところ、△△の可能性に触れた研究は見受けられない。

本研究は、2ちゃんねるやらTwitterの有象無象の戯言を収集することで分析が可能である。自分はフォロワーがいっぱいいるのでそいつらからアンケートを取ることでデータを収集することが可能である。

【今まで読んできた文献】
 名無野権兵衛『あれやこれや』(1980年、民明書房)
 誰屋念『うんたらかんたら』(2019年、ジャンプコミックス)
 max0627『慶應通信学習記録』(2015年、はてなブログ)

 5. まとめ

要は、肩に力入りすぎたら全然前に進まないっすよってことです。まずは自分の疑問や関心を素直に受け止めて、そのことについて調べ始めること。

それができれば、テーマ選びのほとんどは終わったようなもんだと思います*7

*1:それなりに準備が必要なのは言うまでもないw

*2:新しく物珍しいさま。どうも研究の世界では、「新規」ではなくこちらの書き方が多いような気がする。明確な違いはあってそこへのこだわりはあるみたいですがようわかりまへん

*3:もしくは言い張る

*4:まとめサイトなんかも入ってたり。ちなみに卒論でも「世の中こんなふうに言うとるが…」の出典としてまとめサイトのURL貼っつけてます。

*5:そもそも興味の方向性が三田の学部では吸収しきれないであろう(矢上とかSFCっぽかった)っていうのがね…

*6:ホンマにこんな書き方したらあきまへん。

*7:今後の体験記全般に言えることですが、ホントにこれで大丈夫か?については保証できないでのでご容赦を。ウソ書いてるつもりはないんですが、学部とか類とか指導教授によって大きく差が出るのもまた事実なので、その辺は多面的に情報収集してください…